行くも地獄 帰るも地獄
こういう表題で中国進出企業の窮状を訴える評論がネットで散見された。
私は数十年前に我も我もと中国に出ていく企業を見て、とんでもないことにならねばいいがと思っていた。
というのは、当時私の勤務していた会社が中国と取引があり、多大の損害を被ったからだ。
私の勤務していた会社は中国から人毛を輸入して、それを化学処理し、アミノ酸を製造して
それを販売していた。とても利益の出る商売だった。
ところが、あるとき中国側が人毛で売るのは嫌だ、アミノ酸で売りたいと言ってきた。
そして、中国側が言うには、自分たちには機械も技術もない。機械は供与してくれ、製造技術も
教えてくれと言ってきたのだ。その代り、できたアミノ酸はすべてお前の会社に引き渡す。
価格は3000円/kgだといったのだ。そして、契約書を作成し、私の会社は機械設備を
無償で提供し、製造技術もすべて教えてしまった。甘いと言えば甘すぎる考えだった。
さて、中国側でアミノ酸ができるようになり、私の会社がそれを発注したのだが、
中国からは一向に製品を送ってこない。催促すると、こういう返事が返ってきた。
今、世界の当アミノ酸の相場は10000円/kgだ。10000円ならお前の会社に売る。
3000円では出せないと。
この時初めてこちらの会社は中国人の本性に気が付いた。けれども、自分の甘さを反省して
中国との交流をあきらめた。契約書などなんの役にも立たなかったのだ。
この話には続きがある。交流を停止して1年後、そのアミノ酸の相場が3000円/kgに
暴落した。すると、中国側から連絡があり、3000円で買ってくれと言ったのだ。
共産主義の中国とはこういう国なのだ。絶対に心を許してはならない。
だから、30年ほど前、日本中の会社が先を争って中国に進出したとき、おかしなことに
ならねばいいがと思っていたら、案の定昨今の現状だ。行くも地獄、帰るも地獄。中国に
甘い顔で接したオバマ氏よりトランプのほうが正しいと思う。人間性は別にして。