登山ブームと御嶽山の事故
登山ブームだという。私の若い頃(50年も前のこと)は若者の登山が盛んで、ずいぶんと、あちこちの山に登った。楽しみが少ない頃で、休日に弁当を持って、友人と近くの山に出かけるのがとても楽しかった。
最近は若者の登山は昔ほどではないが、中高年の登山がブームになっている。若者と違って足腰が弱り始めてからの登山なので、危険が伴う。装備も体力も各人各様まちまちなので、集団行動する場合、行動に制約が出る。地図の読み方もコンパスの見方もわからぬ高年齢者が平気で高山を目指す。危険と裏腹で見ていられない。
今回の御嶽山の事故は危険が予知できなかった事故で、事故に会った人は不運としか言いようがない。御嶽山はかなり上のほうまでケーブルなどで登れるので、老若男女を問わずいろいろな人が頂上にいたようだ。突然の噴火で噴石が頭上から雨あられと降ってきたのでは、誰しも避けようがなく、事故に会う会わないは殆ど運のみだったろう。事故に会った方々には、お気の毒としか言いようがない。
今回の事故とは関係がないが、最近の中高年の登山ブームには一言申したい。山に出かけるからには、たとえ集団での登山であっても、最低の装備、最低の知識、常識をわきまえて出かけてほしいと思う。山では何時雨や雪になるかもしれない。集団からはぐれて迷子になるかも知れない。そんな時でも、自力で何とか生き延びるだけの知識、装備、体力などのない人は、高山に登るべきではない。金魚の糞であっても、自分ひとりで何とかできる能力を持った糞であってほしい。
そういう心掛けを持った人ばかりなら、中高年の登山ブームも健康的でとてもいい趣味だと思う。