行きつけの喫茶店
27年近く前から、勤務先近くの喫茶店に毎日のように顔を出している。良質の珈琲を出す店でとても気に入っている。
27年の間に、店長は10人以上交替し、客も次々と入れ替わっている。
常連の客で私より古い人は一人だけ。それも月一程度しか顔を見せない。私がダントツの古株だ。年上の客は
次々に来なくなるが、その理由は鬼籍入りがほとんどだ。つい最近も私より10歳近く若い女性の客が来なくなり、
理由を聞いてみると、あの世へ旅立ったという。
その人は、もともとガンの治療を受けていた。私もそのことが気になっていたので、病気への対処法を教えたが、
多分、私の助言は殆ど無視されていたように思う。食事、抗がん剤、放射線治療などについて、私なりの助言を
したのだが、基本的に病院の言いなりになっていた気がする。
そんなこんなで、私の行きつけの喫茶店には先輩がいなくなり、年上の人もほぼいなくなった。私は今の状態なら、
あと20年はそこへ通うつもりなので、20年後には妖怪になってしまいそうだ。仕方ないと言えば仕方ないが、
顔見知りが次々にいなくなるのは、何とも切ない気分ではある。