PM 2.5(大気汚染)と慢性病
中国の大気汚染によるPM2.5が盛んに新聞をにぎわしている。北京では空気清浄器が飛ぶように売れ、
市民は外出する際にはマスクが必携の防具だという。経済成長と軍備ばかりに目を奪われ、環境整備に
全く意を注がなかったツケが市民の健康に重大な影響を及ぼしているようだ。
実は日本でも、かつて殆ど同じ経験を経てきた過去がある。昭和40年代の日本は高度成長期で、
大気汚染がひどかった。東京の空は常にどんよりとしていて、高層ビルからでさえ、富士山を見ることが
殆どできなかった。車の排気ガスも酷く、特にディーゼル車は黒煙を上げながら走るのがふつうだった。
河川も汚れ放題で、都会の河川は家庭排水や工場排水の垂れ流しで、魚も住めなくなり、阪神地区の
神崎川など、常にメタンガスを噴き出し、電車で神崎川を渡ると、ひどい悪臭に悩まされたものだ。それが
今では汚水対策のおかげで、悪臭はなくなり、魚も住める川に変貌した。
だから、我々日本人としては、自国の経験を隣国に教え、環境対策の支援をしてあげるのが、まともな
感覚だが、今の経済一辺倒の中国を見ると、ほとんど聞く耳がなさそうだ。我が国への種々の芳しからぬ
対応もあり、喜んで環境整備の手伝いをする気にもなれない。
環境汚染が一層ひどくなり、水が飲めなくなったり、喘息や肺炎、ガンなどが多発して、どうにもならない
状態になるまで、見て見ぬふりをするしかないのだろうか。自己嫌悪になりそうで、何ともいい気がしない
のだが。